iPhone 7の防水性能に関する誤解

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こんにちはスマレンジャー秋葉原店です

Androidは防水だけど、iPhoneは耐水?!

「iPhone7 防水性能」などで検索すると多くの記事がヒットしますが、内容をザクッとまとめると

「iPhone 7は防水ではなく、耐水でしかないから水濡れは避けたほうがいい!」

この根拠として書かれている内容は次のようなものが多かったです。

  • Androidは防水保護等級で最上位のIPX8が大半だが、iPhone 7は一つ下のIPX7である。
  • Appleが自ら「防水」ではなく「耐水」と言っている。(一方Androidでは「防水」となっている。)
  • 水濡れによる損傷はAppleの保証対象外。(つまりは「水濡れすると故障する!」ってことだよな。)

はい、これらはその通りですし、水濡れを避けた方がいいのも間違いありません。
ただし、記事の中に「AndroidはIPX8で完全防水だから大丈夫だけど」というAndroidとの比較が多く見られました。

IPX8のAndroidだって水濡れは避けたほうがいいですよ!

まず、防水性能を表す「IPX#」について説明しますね。
「IPX#」はIEC(国際電気標準会議)が定めた防塵防水等級を表す「IP##」のうち防水だけを抜き出したものです。(iPhone 7の防塵防水性能はIP67で、防水性能は2つ目の数字が表しているのでIPX7ということになります。)

IPX0(保護なし)~IPX8(水中でも保護)までの9段階あり、iPhone 7は上から2つめの「IPX7」ですが、防水を謳っているAndroid端末の多くは「IPX5/IPX8」とされています。

IPX5は簡単に言うと「いろんな方向から激しくない水をかけても浸水しない」ということです。
IPX7はそのままですね。ちなみに水は「常温の水道水」と決められています。
IPX8が問題なのですが、原則は完全密閉構造とあり、テスト方法は規定されていません。

防水Androidの「IPX5/IPX8」というのは、上の表のIPX5とIPX8の両方を満たしているということです。
一方のiPhone 7は上の表のIPX7を満たしているということになります。

IECの規定ではIPX8のテスト方法は決まっていませんが、携帯電話各社のホームページにはIPX8の注記にほぼ同じ内容が書かれています。

「IPX8とは、常温で水道水の水深1.5mのところに携帯電話を沈め、約30分間放置後に取りだしたときに電話機として機能を有することを意味します。」(ドコモさんの記載例)

「IPX7が水深1.0mで30分なので、IPX8はそれより深い水深1.5mで30分間という規定にしよう」と決めたのでしょうね。 日本の携帯電話業界独自のルールかと思いましたが、海外でも同じ記載がありましたので全世界共通のようです。

ポイントはIPX7もIPX8も、「テストして問題ないことを確認した」に過ぎないということです。

iPhone 7 「水深1.0mに30分つけた後でも正常に動作することを確認した」
Android 「水深1.5mに30分つけた後でも正常に動作することを確認した」
ということでしかありません。

ちなみに「iPhone 7とIPX8のAndroidを35フィート(約10m)の水深に5分間漬けたところ、iPhone 7は正常に動作していたが、IPX8のAndroidは電源が落ちて起動しなくなった」という動画をYouTubeで見ました(笑)
これならiPhone 7もIPX8(1.5mテスト)を問題なくクリアできそうですが、なんでIPX7になったのですかね??

  • AppleはiPhoneを「耐水」と言っており、携帯電話会社はAndroidを「防水」と言っている。
  • IPX8は防水性能の最上位の等級である。

この辺りから、「Androidは完全防水のIPX8だから水濡れOKだけど、iPhone7は耐水のIPX7だから水濡れNG」となってしまったのかなと思います。

確かに「防水」と言われたら水を防いでくれそうで、「耐水」と言われると耐性はあっても完全には防いでくれないという印象を受けますね

では、実際のところiPhone7の防水性能は?

水深1mなり、1.5mなりの水に沈めて30分たっても大丈夫なのであれば日常生活で水に濡れることくらい問題なさそうです。 実際にお風呂やシャワーで問題なく使っている人もいますよね。

しかし、それは「スペック通りの防水性能が発揮できているなら大丈夫」ということです。

IPX7とか、IPX8とかの防水性能は、「一定の条件下でテストして問題ないことを確認した」ものであることはご説明させていただきましたが、正しく理解しておかなければならないことがあります。

1.防水テストは「新品」の端末でしか行っていない!

iPhone7についてAppleさんも言われているとおり、シールやゴムなど防水対策パーツの経年劣化により性能が低下することがあります。これはどのメーカーのどの機種であっても同じことが言えるでしょう。

ただ、それよりも問題が起きる可能性が高いのはフレーム損傷による防水性能の低下です。
スマートフォンは衝撃によってフレームに歪みができることがあります。そうすると画面とフレームの間にどうしても隙間ができてしまい、水に落とすとそこから浸水してしまいます。

落としたことはなくても、ちょっとぶつけたり、少し乱暴に机に置いてしまったり、ジーンズの後ろのポケットに入れていたり、、、それを繰り返しているうちに見た目ではわからなくてもフレームが歪んでしまっているかもしれません。

みなさんのスマートフォンは大丈夫ですか?!

2.防水テストは「ごく少数」の端末でしか行っていない!

当然ですが、数百万台とか数千万台の端末全てを水に沈めてるわけではありません。(iPhoneだと数億台ですね!)

残念ながら、どんな機械であっても個体差はあります。

私たちは防水性能テストのために新品のiPhone7を10台購入し、箱から出した新品の状態でもテストを行いました。
10台のうち9台については水深1m相当の圧力をかけても漏れは発生しなかったので確かにIPX7は満たしているようでしたが、1台だけは何回測定しても漏れがありました。もし深さ1mの水に落としてしまったら浸水することが想定される結果です。

また、iCracked Storeに「iPhone7を水に落としてしまい、すぐに引き上げたけど浸水してしまった」というお客さまが来られたこともあります。

もちろん、これらの端末が気づかないところで落下しておりフレームに歪みがあったのかもしれません。しかし個体差としてスペック通りの防水性能を有していなかった可能性も否定はできません。

これはiPhone7に限りませんが、スマートフォンの防水性能は製造過程のバラつきが起きやすいように感じています。

防水スマートフォンはフレームと前面の画面(機種によっては背面も)をねじ止めするだけでなく、接着シールなどで貼り合わせて防水性能を高めています。最近のスマートフォンは画面が大きくなる一方で本体は薄くなってきており、内部にはぎっしりと部品が詰め込まれています。つまり防水性能を高めるために接着する面積が小さくなってきているのです。

さらにはスマートフォンにはスピーカーやマイク、SIMカードスロットなど穴もたくさん空いており、防水性能を高めるのがとても難しい構造と言えます。

防水を謳ったモデルであっても過信はしない方がよいと思います。

  • IPX7のiPhone7も、IPX8のAndroidと同様に日常生活上の水濡れは問題ない防水性能である。
  • しかし経年劣化、フレーム損傷、そして個体差によりスペック通りの防水性能が発揮されないこともある